2008年6月6日金曜日

monobright

ライヴを念頭に作成された前作「WARP」でストレートなロックを打ち出したモノブライトが一転、初夏の風を感じるミニアルバム「あの透明感と少年」をリリースしました。夏は似合う感じはしていましたが、これまでは熱帯地方というイメージだったのが、この作品では爽やかな初夏のようです。胸がきゅんとするようなラヴソング「夏メロマンティック」や、故郷を思って作り上げたという「旅立ちと少年」などは「music_number」を彷彿とさせるミドルナンバーです。今回、SEが効果的に使われている「幽霊」はコンセプトアルバムだからこそ聴ける、実験的な楽曲です。タイトルトラックの「あの透明感と少年」の中で大人の歌詞を綴りつつも、その後に純愛な曲が続いているのがモノブライトらしいところです。収録曲は、全6曲、1曲目「あの透明感と少年」、2曲目「boy」、3曲目「夏メロマンティック」、4曲目「旅立ちと少年」、5曲目「幽霊」、6曲目「雲男」です。インディ時代のミニアルバム「monobright」から一貫してヴィヴィッドな色使いとメリハリの効いたモチーフをジャケットに用いてきたこれまでの作風から一転、濃淡のある淡い色と抽象的なモチーフによる、彼ららしくない印象画をジャケットに掲げるこの作品は、サウンド的なことに限って言えば、実は見かけほど新しい挑戦がなされているわけではありません。一曲を貫くキーボードが柔らかに曲を躍動させていく「夏メロマンティック」は昨年発売したファースト・アルバムの中に入っていても不思議ではないカラフルなポップソングであり、カントリーフォークのような「旅立ちと少年」も、モノブライトのロックのルーツを想像すればそんなに違和感のある曲ではありません。だからこそ、尚更、歌が歌としてまとまっている感じは、明らかにこれまでのモノブライトにはありませんでした。同じ事をやっても衝動を衝動として打ち出していたこれまでのモノブライトとはそういった意味での変容を遂げているといえるでしょう。このミニアルバムから感じる爽やかさは、そういったところからきているのでしょう。

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