2008年6月4日水曜日

LITE

LITEというバンドは日本のバンドにしてはとても音楽性の高いバンドで、インスト・バンドとしての新しい価値観をいちいち握っています。まず、音に思春期性があるということです。レイヴ的な音が耳に残るパンクのような精神性を持っており、跳ねるように、透明感を求めてこの衝動轟音世界を描いているのだと思います。ハードコアとビートロックが分かり合えない場所でお互い線を引いていた時代には絶対にに生まれることがなかったであろう、カジュアルな姿勢によるヘビーなサウンドとアンサンブル。中にはサンバリズムを取り入れてまでダンスの快楽性を導入しているものまであります。2本のギターとベースとドラムからは、一緒の景色をみようというメッセージを投げかけられているようでもあり、この無垢なプレイヤビリティはラジカルな異物を生み出したようにも感じます。5月21日に発売されたLITEPhantasiaというアルバムはポップソングしか聴かない人たち、歌謡曲しか聴かない人たち、そんな人たちに深く眠る「もっと音楽を楽しむ」といいう潜在能力を引き出す。LITEの視点はそんなところにあるような気がします。感情の起伏を音楽と共に楽しむ。それが音楽の楽しみ方の一つで、それが映画音楽ではない、ビジュアルのないインスト音楽の醍醐味だとしたらLITEの方法論は非常に険しいですが、明らかな方向性を見ることができます。インストロックとして、ベースが歌い、ギターが渦巻いて、ドラムが叩き切る。それが情熱だったり、悲しみだったり、切なさになったりしています。1曲目の「Ef」から始まり、2曲目「Contra」、3曲目「Infinite_Mirror」、4曲目「Shinkai」、5曲目「Black_and_White」、6曲目「Interlude」、7曲目「Ghost_Dance」、8曲目「Solitude」、9曲目「Phantasia」、10曲目「Fade」、11曲目「Sequel_to_The_Letter」まで全て抜かりのない仕上がりとなっています。プログレッシブな楽曲の構成力といい、演奏の切れ味といい、実にスリリングで圧巻の一言です。

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